Day: December 13, 2022

作品内容:
ライカ・ルイーツァリ。雪の様に白い髪とケモミミを持つ、白狼の少女。彼女は雪降る北の帝国で平和に暮らしていた。 しかし、ある日、彼女は帝国を揺るがす大きな事件へと巻き込まれ、何もかもが変わってしまう。その幼い手に武器を持ち、外敵たる獣と戦い、英雄となった。……なってしまったのだ。大好きな姉とは離れ離れになり、遠く離れた地で神経を磨り減らして戦い続け、英雄として死ぬまで役目を果たし続ける彼女の元には、毎日の様に厄介事がやってくる。大抵は外敵の襲来であり……時には、それ以外の要件が。 そんな英雄になってしまった少女には一つ、大きな秘密がある。誰にも言っていない大きな大きな秘密。それは……彼女が、現代世界で生きた記憶を持って異世界に転生した前世持ちであるという事。付け加えて……彼女の前世は元男、つまりはオッサンであったというショッキングな現実だった。アルビノケモミミ美少女が、実は中身オッサンのTS娘であるという大き過ぎる秘密。 そんな事を秘密にしているせいで、彼女の周りはいつもチグハグだ。中身と外見のギャップからあらぬ勘違いをされ、前世の価値観との違いから明後日の勘違いをされ、ちょっとしたすれ違いから勘違いされ……そうとは知らず、歪みを積み重ねながら生きている彼女は、やがて━━ 「あの少女は英雄だった。誰にとっても。勿論、私にとっても。けれど、あの少女の事を詳しく知る者は、あの幼い白狼の少女がどんな思いで戦って、どれだけ傷ついて、本当は何が欲しかったのかを知る者は、今や誰も居ない――」